9.3.2026

 

1.ASU選手が屋外トレーニングで倒れる――大学内部調査とは別に警察も捜査

何が起きたか
Arizona State Universityのアイスホッケー選手Matthew Mayich(21)が8月20日、Tempeで行われたチームの屋外トレーニング中に倒れ、現在も極めて重篤な状態にあります。家族側の弁護士は9月2日、回復の可能性は極めて低いとの見方を示しました。ASUはすでにトレーニングの状況を内部で検証していますが、新たにArizona State University Police Departmentも捜査していることが明らかになりました。 (https://www.azfamily.com)

家族側は、MayichがカナダからArizonaへ移って1週間足らずだったことや、当日のトレーニングが元Green Beretによる高負荷の屋外セッションだったとして、独立した外部調査を求めています。一方、指導者側の弁護士はトレーニングが危険だったとの主張を否定しています。ASUは事実関係を調査中で、現時点で責任の所在は確定していません。 (https://www.azfamily.com)

なぜ重要か
暑熱対策の議論を、

気温/WBGT → 水分補給 → 練習中止

だけで考えると足りないことを示すケースです。

今回は、

新加入選手の暑熱順化
+ トレーニング内容
+ 外部指導者の利用
+ coach・athletic trainerの監督責任
+ 選手が「きつい」と言える環境

まで問題になります。

特に大学スポーツでは、strength and conditioningが競技練習とは別枠で実施されることが多く、誰がそのトレーニングを設計・承認し、安全責任を負うのかが重要です。

取材・記事化の着眼点
ASUに確認したいのは、

外部トレーナーを誰が招いたか/大学職員ではない指導者に選手を預ける際の資格・安全審査/新加入選手のheat acclimatization基準/練習を中止できる権限をathletic trainerが持っていたか

です。

これは「熱中症事故」だけではなく、大学運動部のconditioning cultureと安全統治として追う価値があります。


2.正課のstrength classがfootball練習に――コーチ停止、AD解任へ

何が起きたか
Michigan州Kenowa Hills High Schoolで、正規授業として開講されているKnights Strengthというstrength and conditioning classの運用をめぐり、学校区の調査とMHSAAの処分が行われました。

調査によると、2025年秋の1時間目のクラスは51人全員が男子で、48人がfootball選手。football coaching staffが授業時間中にfilm studyやfootball-specific drillsを行ったとされています。調査報告は、これがMHSAAのoff-season coaching規則、学区方針に抵触し、女子生徒へのアクセスの点でTitle IXやMichigan州法上の問題も生じ得るとしました。 (Yahoo Sports)

学区はathletic director Ross Willickの解任を決め、head coach Don Fellowsを2試合停止。MHSAAもfootball programを2027~28年度までprobationとし、off-season活動や2027年夏のcoaching daysを制限しました。Fellowsは調査結果の一部を否定し、法的に争う意向を示しています。 (Big Rapids News)

なぜ重要か
これは非常に重要な「スポーツ×教育」のケースです。

本来は、

正課授業:全生徒の教育
課外football:特定選手の競技活動

ですが、同じcoach、施設、時間割を使うことで両者が重なり、

strength class
→ 事実上のfootball practice

になり得ます。

TexasのAthletic Periodを調べる際にも重要な比較材料です。Michiganでは少なくとも今回、授業時間だからoff-season coaching ruleの外に出られるわけではないという考え方が明示されています。 (Yahoo Sports)

 


3.大学スポーツ法案、9月の上院採決へ――全国統一ルールを連邦法で作る

何が起きたか
大学スポーツ制度を大きく変えるProtect College Sports Actについて、9月の上院審議を前に働き掛けが強まっています。9月2日には元Alabama監督Nick Sabanが法案支持の広告に登場しました。法案はすでにSenate Commerce Committeeを19対9の超党派で通過し、上院本会議での採決が9月中旬に予定されています。 (Yahoo Sports)

法案はNIL、transfer、eligibility、recruitingについて全国基準を設けるほか、大学から選手へのrevenue sharingに上限を設ける方向です。女子・Olympic sportsのロースターや奨学金を保護する条項も含みます。SECとBig Tenを含む28conference、370校超などが支持を表明しています。 (Senate Commerce Committee)

なぜ重要か
ここ数週間、競技資格をめぐって、

NCAA
→ 裁判所
→ conference独自rule
→ 再び裁判所

という混乱を追ってきました。

この法案は、それを連邦法で全国統一し直そうとするものです。

成立すれば、「college athleteの資格・移籍・NILを誰が決めるのか」という問いへの答えが、NCAA内部規則ではなくCongressが与えた法的権限へ大きく移ります。

取材・記事化の着眼点
スポーツビジネスより、教育機会の配分として見たいです。

特に法案が「女子・Olympic sportsを守る」とする一方で、revenue-sharing capを固定することで、本当にfootballへの支出増が他競技の削減を防げるのか。

また大学側への規制だけでなく、選手にとってtransferやeligibilityが現在より制限される可能性があります。制度安定化のために選手個人の移動自由をどこまで制限するのかが重要な論点です。


4.猛暑で「運動部だけ」ではなくrecess、marching bandまで変更――Kansas City

何が起きたか
Kansas City地域では今週、heat indexが100°F(約38℃)を超える猛暑となり、多くの学区が9月3日まで屋外活動を変更しています。

Kansas City, Kansas Public Schoolsは中学校の午後の屋外活動を中止し、高校varsityの屋外試合を午後7時以降、footballを午後8時開始に変更。Lee’s Summit、Olathe、Shawnee Missionなども朝・夜への練習移動やWBGTに基づく活動制限を実施しています。 (KCUR)

対象はfootballだけではありません。学区はsoccer、tennisなどのスポーツに加え、marching band、recess、PEなど学校の屋外身体活動全般を調整しています。 (KCUR)

なぜ重要か
最近扱ったSan Diegoと同様、学校側の暑熱政策が

athletics policy

から

school-wide physical activity policy

へ広がっていることが分かります。

さらに興味深いのは、中学・JVとvarsityで扱いが違うことです。猛暑時でもvarsity gameは夜へ移して維持する一方、middle schoolやsub-varsityは中止・短縮されやすい。 (KCUR)

 


5.女子フラッグを「大学の学生募集策」に――North Dakota4大学が共同で新設

何が起きたか
North Dakotaの4大学、Valley City State、Bismarck State、Dickinson State、Mayville Stateが9月2日、女子flag footballを共同で育成する計画を発表しました。

Mayville Stateは2026~27年度からvarsity competitionを開始。残る3大学は2027年春にまずintramuralとして導入し、2027~28年度のvarsity化を目指します。4校でregional scheduleを作り、近隣州の大学とも対戦する構想です。 (VCSU)

背景にはNAIAが女子flag footballを2026~27年度から正式なchampionship sportとし、2027年春に初の全国選手権を行うことがあります。 (VCSU)

なぜ重要か
興味深いのは、大学自身がこの競技を単なるathletics expansionではなく、

student recruitment
+ student retention
+ campus engagement

の手段と明言している点です。 (VCSU)

つまり女子flag footballは、

高校女子の新しい参加機会

だけでなく、

地方大学が学生を集めるための新しい競技

になり始めています。

人口減少・入学者確保に苦しむ地方大学にとって、運動部新設がenrollment strategyになる典型例です。