9/5/2026

 

1.NCAA「5年目」訴訟、Big Tenにも波及――Indianaの2選手が開幕戦出場可能に

何が起きたか
Indiana州Monroe Circuit Courtは9月4日、Indiana Universityのfootball選手Stephen Daley、Kellan Wyattら計8選手について、NCAAとBig Tenが2026~27年度の出場を禁じることを一時的に差し止めました。これによりDaleyとWyattは、5日のNorth Texasとの開幕戦に出場できます。9月11日にpreliminary injunctionをめぐる審理が予定されていま


6.【日本・比較材料】5競技が「競技人口の奪い合い」をやめる――複数競技を前提に連携

何が起きたか
日本では9月2日、日本スポーツ協会(JSPO)と、サッカー、バスケットボール、ハンドボール、ラグビー、軟式野球の5競技団体が**「BALANCE IS BETTER JAPAN」**を発足させました。

複数競技を体験できるイベント、競技横断の指導者研修などを実施し、早期専門化、オーバーワーク、燃え尽きなどを抑えながら、子どもが長くスポーツを続けられる環境を目指します。競技団体側も、少子化や地域展開を背景に「各競技が子どもを奪い合う」方式から協働へ転換する考えを示しています。 (Japan Softball Association)

 

9.3.2026

 

1.ASU選手が屋外トレーニングで倒れる――大学内部調査とは別に警察も捜査

何が起きたか
Arizona State Universityのアイスホッケー選手Matthew Mayich(21)が8月20日、Tempeで行われたチームの屋外トレーニング中に倒れ、現在も極めて重篤な状態にあります。家族側の弁護士は9月2日、回復の可能性は極めて低いとの見方を示しました。ASUはすでにトレーニングの状況を内部で検証していますが、新たにArizona State University Police Departmentも捜査していることが明らかになりました。 (https://www.azfamily.com)

家族側は、MayichがカナダからArizonaへ移って1週間足らずだったことや、当日のトレーニングが元Green Beretによる高負荷の屋外セッションだったとして、独立した外部調査を求めています。一方、指導者側の弁護士はトレーニングが危険だったとの主張を否定しています。ASUは事実関係を調査中で、現時点で責任の所在は確定していません。 (https://www.azfamily.com)

なぜ重要か
暑熱対策の議論を、

気温/WBGT → 水分補給 → 練習中止

だけで考えると足りないことを示すケースです。

今回は、

新加入選手の暑熱順化
+ トレーニング内容
+ 外部指導者の利用
+ coach・athletic trainerの監督責任
+ 選手が「きつい」と言える環境

まで問題になります。

特に大学スポーツでは、strength and conditioningが競技練習とは別枠で実施されることが多く、誰がそのトレーニングを設計・承認し、安全責任を負うのかが重要です。

取材・記事化の着眼点
ASUに確認したいのは、

外部トレーナーを誰が招いたか/大学職員ではない指導者に選手を預ける際の資格・安全審査/新加入選手のheat acclimatization基準/練習を中止できる権限をathletic trainerが持っていたか

です。

これは「熱中症事故」だけではなく、大学運動部のconditioning cultureと安全統治として追う価値があります。


2.正課のstrength classがfootball練習に――コーチ停止、AD解任へ

何が起きたか
Michigan州Kenowa Hills High Schoolで、正規授業として開講されているKnights Strengthというstrength and conditioning classの運用をめぐり、学校区の調査とMHSAAの処分が行われました。

調査によると、2025年秋の1時間目のクラスは51人全員が男子で、48人がfootball選手。football coaching staffが授業時間中にfilm studyやfootball-specific drillsを行ったとされています。調査報告は、これがMHSAAのoff-season coaching規則、学区方針に抵触し、女子生徒へのアクセスの点でTitle IXやMichigan州法上の問題も生じ得るとしました。 (Yahoo Sports)

学区はathletic director Ross Willickの解任を決め、head coach Don Fellowsを2試合停止。MHSAAもfootball programを2027~28年度までprobationとし、off-season活動や2027年夏のcoaching daysを制限しました。Fellowsは調査結果の一部を否定し、法的に争う意向を示しています。 (Big Rapids News)

なぜ重要か
これは非常に重要な「スポーツ×教育」のケースです。

本来は、

正課授業:全生徒の教育
課外football:特定選手の競技活動

ですが、同じcoach、施設、時間割を使うことで両者が重なり、

strength class
→ 事実上のfootball practice

になり得ます。

TexasのAthletic Periodを調べる際にも重要な比較材料です。Michiganでは少なくとも今回、授業時間だからoff-season coaching ruleの外に出られるわけではないという考え方が明示されています。 (Yahoo Sports)

 


3.大学スポーツ法案、9月の上院採決へ――全国統一ルールを連邦法で作る

何が起きたか
大学スポーツ制度を大きく変えるProtect College Sports Actについて、9月の上院審議を前に働き掛けが強まっています。9月2日には元Alabama監督Nick Sabanが法案支持の広告に登場しました。法案はすでにSenate Commerce Committeeを19対9の超党派で通過し、上院本会議での採決が9月中旬に予定されています。 (Yahoo Sports)

法案はNIL、transfer、eligibility、recruitingについて全国基準を設けるほか、大学から選手へのrevenue sharingに上限を設ける方向です。女子・Olympic sportsのロースターや奨学金を保護する条項も含みます。SECとBig Tenを含む28conference、370校超などが支持を表明しています。 (Senate Commerce Committee)

なぜ重要か
ここ数週間、競技資格をめぐって、

NCAA
→ 裁判所
→ conference独自rule
→ 再び裁判所

という混乱を追ってきました。

この法案は、それを連邦法で全国統一し直そうとするものです。

成立すれば、「college athleteの資格・移籍・NILを誰が決めるのか」という問いへの答えが、NCAA内部規則ではなくCongressが与えた法的権限へ大きく移ります。

取材・記事化の着眼点
スポーツビジネスより、教育機会の配分として見たいです。

特に法案が「女子・Olympic sportsを守る」とする一方で、revenue-sharing capを固定することで、本当にfootballへの支出増が他競技の削減を防げるのか。

また大学側への規制だけでなく、選手にとってtransferやeligibilityが現在より制限される可能性があります。制度安定化のために選手個人の移動自由をどこまで制限するのかが重要な論点です。


4.猛暑で「運動部だけ」ではなくrecess、marching bandまで変更――Kansas City

何が起きたか
Kansas City地域では今週、heat indexが100°F(約38℃)を超える猛暑となり、多くの学区が9月3日まで屋外活動を変更しています。

Kansas City, Kansas Public Schoolsは中学校の午後の屋外活動を中止し、高校varsityの屋外試合を午後7時以降、footballを午後8時開始に変更。Lee’s Summit、Olathe、Shawnee Missionなども朝・夜への練習移動やWBGTに基づく活動制限を実施しています。 (KCUR)

対象はfootballだけではありません。学区はsoccer、tennisなどのスポーツに加え、marching band、recess、PEなど学校の屋外身体活動全般を調整しています。 (KCUR)

なぜ重要か
最近扱ったSan Diegoと同様、学校側の暑熱政策が

athletics policy

から

school-wide physical activity policy

へ広がっていることが分かります。

さらに興味深いのは、中学・JVとvarsityで扱いが違うことです。猛暑時でもvarsity gameは夜へ移して維持する一方、middle schoolやsub-varsityは中止・短縮されやすい。 (KCUR)

 


5.女子フラッグを「大学の学生募集策」に――North Dakota4大学が共同で新設

何が起きたか
North Dakotaの4大学、Valley City State、Bismarck State、Dickinson State、Mayville Stateが9月2日、女子flag footballを共同で育成する計画を発表しました。

Mayville Stateは2026~27年度からvarsity competitionを開始。残る3大学は2027年春にまずintramuralとして導入し、2027~28年度のvarsity化を目指します。4校でregional scheduleを作り、近隣州の大学とも対戦する構想です。 (VCSU)

背景にはNAIAが女子flag footballを2026~27年度から正式なchampionship sportとし、2027年春に初の全国選手権を行うことがあります。 (VCSU)

なぜ重要か
興味深いのは、大学自身がこの競技を単なるathletics expansionではなく、

student recruitment
+ student retention
+ campus engagement

の手段と明言している点です。 (VCSU)

つまり女子flag footballは、

高校女子の新しい参加機会

だけでなく、

地方大学が学生を集めるための新しい競技

になり始めています。

人口減少・入学者確保に苦しむ地方大学にとって、運動部新設がenrollment strategyになる典型例です。

 

9.2.2026

 

1.カリフォルニアのトランス選手政策、連邦地裁が司法省の訴えを棄却

何が起きたか
ロサンゼルスの連邦地裁は9月1日、カリフォルニア州がトランスジェンダーの女子生徒に女子スポーツへの参加を認めている政策について、米司法省がTitle IX違反として起こした訴訟を棄却しました。Cynthia Valenzuela判事は、連邦政府が教育資金の条件として今回の解釈を適切に州へ通知していたとは認められない、などと判断しました。司法省は控訴を検討するとしています。 (Los Angeles Times)

なぜ重要か
これは「トランス選手を参加させるべきか」という政策論だけではありません。

連邦政府
→ Title IX解釈
→ 州教育当局・CIF
→ 学区・学校

という学校スポーツの統治関係のうち、連邦政府が資金停止などを背景に州へ政策変更を迫れる範囲が争われています。

米最高裁は別の州の参加制限をめぐる判断を出していますが、それだけで全国一律の学校スポーツ規則が成立したわけではありません。したがって今後も州ごとに制度が分かれる可能性があります。 (Los Angeles Times)

 


2.人種差別的行為で高校野球部に「3試合没収+コーチ陣刷新」――処分を教育プログラムと組み合わせる

何が起きたか
San FranciscoのLowell High School野球部が、前シーズンのJV試合で起きたrace-based tauntingをめぐる調査を受け、今後の重要な3試合をforfeitし、varsityのコーチ陣全体が入れ替わることになりました。San Francisco Chronicleが8月31日に報じました。 (San Francisco Chronicle)

関与した選手やスタッフには、bullyingやimplicit biasなどを扱うsportsmanship educationも課されます。Varsityの選手がJV試合で問題行動をしたとされ、コーチもその場にいたと報じられています。 (San Francisco Chronicle)

なぜ重要か
高校スポーツの処分で興味深いのは、

個人の生徒指導
+ coachの雇用・監督責任
+ teamへの競技上の制裁
+ 再教育

を組み合わせている点です。

日本では「部全体を処分することが適切か」という議論がしばしばあります。今回の例では、単純な出場停止ではなく、将来のleague standingsへ影響する試合を指定して没収する措置まで取られています。

取材・記事化の着眼点
CIF San Francisco Sectionや学区に、

なぜ3試合を選んだのか
なぜ選手個人ではなくチームの勝敗に処分を反映するのか
教育プログラムの効果をどう確認するのか

を聞く価値があります。

また、coachが教員でもある場合に、競技指導者としての処分と教員としての雇用処分をどう分けるか。teacher-coach制度を考える具体例にもなります。


3.高校選手のメンタルヘルス支援、NFHSが「危機対応」から予防的mental fitnessへ

何が起きたか
NFHSは9月1日、学生選手向けのmental fitness、wellness、readinessを提供するNDUR for Athletesと全国的なパートナーシップを結びました。NDURは現在、400校以上の高校・大学で選手を支援しており、デジタル教材、mentorship、on-campus programmingなどを提供しています。 (NFHS)

NFHSは従来からCrisis Text Lineなど危機時の支援も進めていますが、今回の特徴は「問題が起きてから相談する」だけでなく、confidence、resilience、pressure managementなどを平時から育てるproactive modelを強調している点です。 (NFHS)

なぜ重要か
高校スポーツのメンタルヘルス対策が、

危機 → カウンセリング

だけでなく、

日常の競技環境 → コーチ・親・管理職も含めた予防

へ広がっています。

これは先週扱った大学のembedded psychologistとも同じ流れです。学校スポーツの安全を、けがやAEDだけでなく心理的安全性を含む制度として考える動きが強まっています。

 


4.「1マイルを走れる子」がコロナ前より減少――学校体育の成果を州が数値化

何が起きたか
Connecticut州の2025~26年度Physical Fitness Assessmentの最新集計では、有酸素能力を測るmile runなどで州のfitness zoneに達した生徒は**68%**で、2019年の71%を下回りました。4種目すべてで基準を満たした生徒は全体のおよそ半数にとどまり、州目標の75%を大きく下回っています。 (CT Insider)

一方、push-upなど一部では改善もみられ、全項目が一様に悪化しているわけではありません。 (CT Insider)

なぜ重要か
スポーツ参加率とは別の指標です。

NFHS調査では高校スポーツ参加が過去最多になっていますが、それと同時に、学校全体の生徒を対象とするphysical fitnessでは課題が残る。

つまり、

競技スポーツに参加する生徒は増える
≠
すべての子どもの体力が上がる

ということです。

学校教育として考えるなら、varsity athleticsの拡大だけではなく、PEや日常的身体活動が非運動部層に届いているかが重要になります。

取材・記事化の着眼点
Connecticutではfitness testを学校・学区単位で比較できるため、

運動部参加率が高い学区ほど全生徒のfitnessも高いのか

を検証できます。

もし相関が弱ければ、「学校スポーツへの投資」と「一般生徒の身体活動政策」は別々に考える必要があります。

またTorringtonでは、低いfitness scoreを改善するため新しいathletic directorにPEまで統括させる構想が出ています。スポーツ行政と体育行政を一体化する事例として追えます。 (CT Insider)


5.大学のユニホーム広告を「メンタルヘルス支援」と結びつける――Elonの新モデル

何が起きたか
Elon Universityは9月1日、男女サッカーチームのユニホームにmental-health providerのOnriseのcommercial patchを掲出すると発表しました。同時にOnriseは同大学の選手へpeer support、licensed clinicians、psychiatric care、24時間crisis supportなどを提供します。 (Elon University Athletics)

大学側は、この契約について新たな収入源であると同時に、選手へのメンタルヘルス支援でもあると明確に説明しています。男子footballやbasketballではなく、男女soccerで実施する点も特徴です。 (Elon University Athletics)

なぜ重要か
今年8月から大学ユニホームのcommercial logo利用が拡大し、スポンサー収入を選手報酬などへ充てる流れが進んでいます。

今回のElonは、

スポンサー企業 → 大学へ広告料
+
同じ企業 → 選手へhealth service

というモデルです。

大学スポーツの商業化とstudent welfareが、対立するものではなく一つの契約に組み込まれ始めている点が面白いです。 (Elon University Athletics)